🌱 はじめの一歩のあとで
初めて事務所を訪ねたあの日から、私の中で何かが静かに動き始めていました。
帰り道の空の明るさ、心に残る言葉、あの笑顔。
それらが頭の片隅に残り、日常の中でふとした瞬間に思い出されるようになりました。
「また行ってみようかな」
その気持ちは小さな芽のように、少しずつ膨らんでいきました。
🌿 人の輪に入るということ
次に事務所を訪ねたとき、前よりも少し落ち着いた気持ちでドアを開けました。
中では、すでに数人が集まっておしゃべりをしていました。
「こんにちは!」
紗代ちゃんが笑顔で迎えてくれました。
その明るい声に救われるような気持ちになりました。
けれども、心の奥ではまだ少し緊張がありました。
「自分の居場所はあるのかな」「何を話したらいいんだろう」
そんな思いが、私の胸の中を静かに行ったり来たりしていました。
それでも、少しずつ輪の中に混じっていくうちに、
「この人たちは本当に人を受け入れるのが上手だな」と思うようになりました。
誰かが話すと、みんなが頷き、笑い、時には静かに耳を傾ける。
そこには、上下も優劣もなく、ただ“人と人”としてのつながりがありました。
☕ 小さな会話の中で感じた安心
「最近どう?」
かずくんが何気なくそう声をかけてくれた日がありました。
「少しずつ慣れてきたけれど、まだ緊張します」と正直に答えると、
彼はいつものように穏やかな声で言いました。
「大丈夫ですよ。慣れるより、感じることのほうが大事です。」
その言葉に、心がふっと軽くなりました。
“感じること”を大切にしてくれる人がいる――
そう思えた瞬間、私は少し自分を許せた気がしました。
🌼 自分の中の変化
通ううちに、私は「話を聞くこと」が好きだと気づきました。
誰かが悩みを話したり、アイデアを語ったりする。
それを静かに聞きながら、「ああ、この人も頑張っているんだな」と思う時間が増えました。
以前の私は、「自分が何かできるわけがない」と思っていました。
けれど、人の話を聞くことも、誰かを支える形なのだと気づいたのです。
🌷 紗代ちゃんの言葉
ある日、紗代ちゃんが笑顔でこう言ってくれました。
「◯◯さん(当時の私の名前)は、いるだけでいいですよ。」
その言葉に驚きました。
ただそこに“いるだけ”でいいなんて、
そんなふうに思われたことは、これまでほとんどなかったからです。
その一言で、私は自分の居場所を少しだけ信じられるようになりました。
🌈 かずくんの背中から学んだこと
かずくんは、誰かに何かを教えるというよりも、
“見せてくれる人”でした。
誰かが悩んでいるときも、焦らず、静かに見守る。
そして、必要なときにだけ言葉をかける。
「焦らなくていい。人は、それぞれのペースで咲くからね。」
その言葉を聞いたとき、私は胸の奥で小さくうなずきました。
私は私のペースでいい。
そのことを、ようやく受け入れられるようになったのです。
🌻 まとめ
人の輪に入ることは、勇気よりも“素直さ”が大切。 聞くこと・感じることも立派な学びの一歩。 誰かに「いてくれてありがとう」と言われた瞬間に、人は少し強くなれる。
私もまだ学びの途中です。
だからこそ、誰かの歩みに寄り添いながら、一緒に進んでいきたいです。

